英検は高校受験に有利なのか

英検®は高校受験に有利って本当?加点制度や取得したい級について解説

高校受験に向けて英検®を受けるべきか迷う保護者や中学生は多いのではないでしょうか。

英検®は英語力を測る代表的な資格であり、近年は高校入試において評価の対象となるケースも増えています。学校によっては加点制度が導入されていたり、出願資格の一部として扱われたりすることもあります。

一方で、すべての高校で優遇されるわけではなく、どの級を目標にすべきか悩む声も少なくありません。

本記事では、英検®が高校受験でどのように有利に働くのか、加点制度や優遇の具体例、さらに受験に向けて取得しておきたい級についてわかりやすく解説します。

英検®の概要をおさらい

英検®(実用英語技能検定)は、公益財団法人日本英語検定協会が主催し、文部科学省が後援する日本で最も広く受験されている英語資格試験です。小学生から社会人まで幅広く受験しており、学校や入試制度にも採用されるなど社会的信頼度が高い検定です

試験は 一次試験(リーディング・リスニング・ライティング)と 二次試験(面接/スピーキング)の二段階構成です。なお、4級・5級は面接試験がありませんが、希望者向けに 自宅受験型のスピーキングテスト が用意されており、スピーキング力を補足的に測定できます。

英検®の級とレベルの目安(参考)(※)
  • 5級:中学初級程度
  • 4級:中学中級程度
  • 3級:中学卒業程度
  • 準2級:高校中級程度
  • 2級:高校卒業程度
  • 準1級:大学中級程度
  • 1級:大学上級程度

※上記はあくまで目安であり、学年や年齢で厳密に縛られるものではありません。また、英検®の資格自体は合格後も有効期限はなく一生有効ですが、大学受験や留学など外部利用の場合には「取得から2年以内」などの有効期間が設定されるケースがあります。


英検®は英語力の到達度を客観的に示す資格であり、受験や進学の場面でも重視されることがあります。ただし、学校ごとの扱いは異なるため、入試や学習上どのように評価されるかは各教育機関の方針に従うことが重要です。

英検®は高校受験で有利になるの?

高校受験のイメージ画像

英検®を取得していると、高校入試で有利になる場合があります。代表的な優遇措置には、内申点への加点、入試本番での得点換算(みなし得点)、出願資格の条件としての活用 などがあります。また、一部の学校では英語筆記試験の免除や特別選抜の対象となることもあります。

ただし、これらの制度はすべての学校でおこなわれているわけではなく、地域や学校ごとに大きな違いがあります。特に私立高校のほうが優遇制度を設けている割合が高く、公立高校では限定的である点に注意が必要です。

対象となる級は概ね3級以上ですが、評価の最低ラインが3級である一方、準2級や2級を持っているとより高く評価されるケースが多いのが現状です。したがって、実際にどの級がどのように評価されるのかを把握することが重要です。

さらに、優遇制度は毎年見直されるため、必ず受験年度の最新の募集要項を確認することが不可欠です。英検®が直接合否を左右するとは限りませんが、条件を満たせば選択肢を広げる有効な手段となり、志望校選びを有利に進められる可能性があります。

高校受験が英検®で有利になるケースとは

高校受験のイメージ画像

英検®を持っていることで有利になる仕組みは、学校や地域によって大きく異なります。大きく分けると 公立高校 と 私立高校 で扱いが異なり、優遇の内容も「加点」「みなし得点」「出願資格」など多様です。ここからは、公立と私立に分けて具体的な例を見ていきましょう。

公立高校受験で有利になる例

公立高校では、一部地域で英検®取得者を対象とした優遇制度があります。代表的なのは、 内申点の加点と学力検査得点保証(みなし得点制度)です。

たとえば、埼玉県や千葉県 では準2級以上で内申点が2〜5点加算される学校があり、大阪府では2級で英語の学力検査を80%、準1級なら満点とみなす制度が導入されています。

一方、東京都や神奈川県の公立高校では英検®による直接的な優遇はおこなわれていません。このように地域差が大きいため、必ず受験年度の募集要項で最新情報を確認することが重要です。

私立高校受験で有利になる例

私立高校では、公立に比べて英検®を評価する割合が高く、さまざまな優遇制度が設けられています。代表的なのは、出願資格の条件や得点加算・英語試験免除です。

たとえば、英検®2級を持っていれば特進コースに出願できる、準2級以上で入試得点に加点される、といった仕組みがあります。難関私立では、英検®を持っていると面接や小論文のみで受験できる特別枠が用意されているケースもあります。

ただし、対象となる級や評価内容は学校ごとに異なるため、最新の募集要項で具体的な条件を確認することが不可欠です。

高校受験に向けて英検®何級を取得するべき?

英検®を取得することで高校入試における選択肢が広がる可能性がありますが、実際にどの級を目指せばよいかは悩みどころです。

評価の最低ラインはおおむね3級以上ですが、実際に加点や出願資格として扱われることが多いのは 準2級以上です。
さらに、難関私立や特進コースなどでは2級の取得が有利に働く場合もあります。

ここでは、高校受験において英検®がどのように評価されるかを踏まえ、取得しておきたい級を段階ごとに確認していきましょう。

優遇対象になりうるのは英検®3級から

英検®3級は「中学卒業程度」のレベルで、リーディング・リスニング・ライティング・スピーキングを通して基礎的な英語力を証明できる資格です。高校入試においては、優遇措置の最低ラインとして3級以上が対象となるケースが多く見られます。

たとえば、一部の公立高校では「英検®3級を取得していれば内申点に加点される」仕組みを設けている場合があります。ただし、3級はあくまで基準のスタートラインであり、加点が少なかったり、条件が限定されていたりするのが実情です。

それでも、英検®3級を持っていると「中学英語の基礎力を身につけている」と客観的に示せるため、高校受験を迎える上で大きな安心材料になります。英語が苦手な受験生にとっても、まずは3級を目標に学習を進めることで、自信を持って受験勉強に取り組めるでしょう。

選択肢が広がるのは英検®準2級以上

英検®準2級は「高校中級程度」のレベルで、基礎を超えた実践的な英語力を証明できます。高校受験では 準2級以上から優遇内容が広がるのが一般的です。

私立高校では準2級を出願資格や得点加算の条件にしている例が多く、公立高校でも内申点加点や英語試験での得点保証が適用される場合があります。さらに、2級を取得していれば英語試験免除や満点扱いなど、より大きな優遇を受けられるケースもあります。

つまり、3級は最低ライン、準2級以上は選択肢拡大の目安です。受験に備えるのであれば、できれば準2級以上を目標にするのが安心です。

英検®で有利になる高校を紹介【一都三県】

高校のイメージ画像

英検®の優遇制度は、学校によって具体的な内容が異なります。ここでは一都三県を対象に、英検®を評価基準としている高校を紹介します。出願資格や加点条件などは年度ごとに変更されるため、必ず最新の募集要項で確認することが重要です。

【東京都】英検®で有利になる私立高校

東京都の私立高校は、全国的に見ても英検®を積極的に評価する学校が多い地域です。特に準2級以上を条件とした加点制度や、出願資格として設定するケースが目立ちます。2級を取得していると特進クラスや難関コースで優遇される可能性もあり、学力に加えて英語力を重視する学校選びでは大きな強みになります。

東京都の例
  • 桜美林高校:英検®準2級以上で入試得点に加点
  • 順天高等学校:英検®2級以上で英語試験免除
  • 大森学園高校:英検®準2級で出願資格を満たす場合あり
  • 神田女学園高校:英検®準2級以上で特進コース出願可能
  • 立川女子高等学校:英検®3級以上で内申加点制度あり

このように、東京都の私立高校では「準2級以上」を目安に優遇制度が広がる傾向があります。ただし、年度によって基準や内容は見直されるため、必ず最新の募集要項を確認することが不可欠です。特に志望コースによって条件が変わる場合もあるため注意しましょう。

【神奈川県】英検®で有利になる私立高校

神奈川県の私立高校でも、英検®を利用した優遇制度を導入している学校が多く見られます。出願資格や加点、英語試験の免除といった仕組みは、東京都と同様に準2級以上を基準とするケースが多いのが特徴です。特に英語教育を重視する高校では、英検®2級を持っていると難関コースの出願や試験免除に直結する場合もあります

神奈川県の例
  • 藤嶺学園藤沢高校:英検®準2級以上で入試得点に加点
  • 北鎌倉女子学園高校:英検®準2級以上で出願資格を満たす場合あり
  • 聖セシリア女子高等学校:英検®2級以上で英語試験免除
  • 立花学園高校:英検®準2級以上で加点制度あり

神奈川県の私立高校は、東京都と比べるとやや制度が限定的ですが、それでも多くの学校が英検®を評価基準に取り入れています。特に準2級以上を取得していると幅広い学校で活用でき、2級を持っていればさらに有利になるケースが多いです。制度は毎年見直されるため、必ず最新の募集要項を確認することが欠かせません。

【埼玉県】英検®で有利になる公立・私立高校

埼玉県は、公立・私立ともに英検®を活用した優遇制度を設けている学校が多い地域です。特に公立高校の一部では、準2級以上で内申点に加点される制度が導入されており、私立高校でも出願資格や得点換算の条件として活用されています。

難関校や特進コースでは2級を求める場合もあり、進路の選択肢を広げるために英検®の取得が大きな意味を持ちます。

埼玉県の例
  • 浦和高校:英検®準2級以上で内申点に加点
  • 春日部高校:英検®2級取得で英語試験得点を優遇
  • 越ヶ谷高校:英検®準2級以上で加点制度あり
  • 川越高校:英検®2級で出願資格条件を満たす場合あり
  • 市立浦和高校/浦和一女高校:英検®準2級以上で加点やみなし得点の対象
  • 栄東:英検®準2級以上で特進コースの加点に活用

埼玉県の特徴は、公立でも一定の加点制度が整備されている点 です。特に準2級以上を取得していると活用できる場面が多く、2級を持っていれば難関校や上位コースで有利に働きます。ただし、制度の内容や対象級は毎年見直されるため、最新の募集要項を必ず確認することが重要です。

【千葉県】英検®で有利になる公立・私立高校

千葉県も埼玉県と同様に、公立・私立ともに英検®を評価する学校が複数あります。特に公立高校では準2級以上を対象とした加点制度が導入されている例があり、私立高校では出願資格や得点優遇の条件に英検®を活用しているケースが見られます。英語教育に力を入れる学校が多く、英検®を持っていることで進学の幅を広げられるのが特徴です。

千葉県の例
  • 船橋東高校:英検®準2級以上で内申点に加点
  • 松戸六実高校:英検®準2級以上で入試得点を優遇
  • 成東高校:英検®準2級以上で加点制度あり
  • 専修大松戸:英検®準2級以上で特進コース出願資格や加点に活用

千葉県の場合、準2級以上を評価基準にしている学校が多く、2級を持っていればさらに強いアドバンテージ となります。特に私立では、難関コースや特別選抜での条件に直結するケースが少なくありません。制度は毎年更新されるため、受験の際は 最新の募集要項で詳細を確認することが不可欠です。

高校受験で英検®を利用したい場合の注意点

英検®を持っていることで受験が有利になる可能性はありますが、制度を正しく理解していないと十分に活用できないこともあります。特に募集要項の確認や学校生活との両立は見落とされがちなポイントです。

英検®利用での注意点

必ず受験年の募集要項を確認する

英検®優遇の条件は、年度や学校によって毎年見直される場合があります。

たとえば、前年までは準2級で加点対象だった学校が、翌年度から2級以上に変更されるケースもあります。そのため、必ず受験年度の最新「募集要項」や公式情報を確認することが不可欠です。塾や予備校の情報を参考にするのも有効ですが、最終判断は学校の公式資料に基づきましょう。

学校の学習と両立する必要がある

中学3年生は、内申点や入試対策に直結する学習が最も重要な時期です。

そのため、英検®の勉強に集中しすぎると本来の学習との両立が難しくなる可能性があります。特に英検®2級以上を目指す場合、長文読解や高度なライティング対策に時間がかかるため、学校の定期テストや主要教科の勉強とのバランスを意識することが大切です。

高校受験で英検®が有利になるかは募集要項をチェック

英検®は内申点加点や得点換算、出願資格などで活用される場合があり、特に準2級以上を取得していると私立高校を中心に選択肢が広がります。

さらに2級を持っていれば難関コースや特別選抜に直結するケースもあります。ただし、すべての学校で優遇があるわけではなく、地域や学校によって扱いは異なります。

そのため、必ず受験年度の最新募集要項を確認することが重要です。英検®は合否を決める絶対条件ではありませんが、うまく活用すれば進路の幅を広げる有効な手段となります。

この記事の編集者
  • 葉玉 詩帆
    Ameba学校探し 編集者

    幼少期から高校卒業までに、ピアノやリトミック、新体操、水泳、公文式、塾に通う日々を過ごす。私立中高一貫校を卒業後、都内の大学に進学。東洋史学を専攻し、中東の歴史研究に打ち込む。卒業後、旅行会社の営業を経て2021年より株式会社CyberOwlに入社。オウンドメディア事業部で3年半の業務経験を経て、Ameba塾探しの編集を担当。「Ameba学校探し」では、お子さんにぴったりの学校選びにつなげられる有益な記事づくりを目指しています。