教育の場にICT活用の考えが広がり、デジタル教科書の導入・1人1台端末・ラーニングコモンズの整備など、最先端の取り組みをする学校が増えています。「設備の進化=学びの進化」として教育環境のアップデートが進み、探求学習などへの注目度も高くなりました。
本記事では、最新設備×探究・PBLに本気で投資する首都圏の私立中学から7校を厳選して紹介します。選定基準・学校ごとの強み・見学時のチェックポイントまで幅広く触れているので、理想的な学校選びの参考にしてください。
- 私立中学の選定基準と見学時に確認したいポイント
- 選定基準
- 見学で確認したいポイント
- 最新設備×探究・ICTが強い私立中学7選
- 広尾学園小石川中学校・高等学校
- 三田国際学園 中学校・高等学校
- ドルトン東京学園 中等部・高等部
- 工学院大学附属 中学校・高等学校
- 順天 中学校・高等学校
- 開智日本橋学園 中学校・高等学校
- 広尾学園 中学校・高等学校
- 【説明会・見学用】“設備が学びを変える”を見抜く質問例
- ICT・デジタル環境について
- 探究学習・プロジェクト型授業(PBL)との連動
- 利用のしやすさ・日常的な運用
- 将来の進路との関連性
- 家庭における準備と確認すべきポイント
- 初期費用・維持費の内訳を確認する
- 家庭でのICTリテラシー
- 無理のない通学動線
- 学びの循環を生む設備に着目して学校を選ぼう
私立中学の選定基準と見学時に確認したいポイント
まずは、私立中学校を選ぶときの基準や、見学時に確認したいポイントを解説します。魅力的な学校が多いからこそ迷ってしまったときは、以下をご覧ください。
選定基準
探究・ICT環境が整っている学校には、以下のような特徴があります。
- 探究・PBL(課題解決型学習)をカリキュラムに実装している
単発のプロジェクトにとどまらず、時間割や評価制度にまで組み込まれており、探究が学びの中心にある。 - ICT環境が常時運用されている
1人1台の端末配備、校内Wi-Fiの完備、LMS(学習管理システム)やクラウドツールの活用が日常的におこなわれている。 - 学びを後押しする空間が整っている
ラーニングコモンズ、サイエンスラボ、デザイン・制作系のラボなど、生徒の発想力・創造力を育てる専用施設がある。
近年、多くの学校で探究型学習が取り入れられていますが、重要なのは継続的な学びとして設計されているかどうかです。課題解決力や論理的思考は一朝一夕で身につくスキルではないからこそ、日常的に探究型学習に触れられるか、チェックしてみましょう。
上記の選定基準を満たす学校は、単に「設備が新しい学校」であるだけでなく、「生徒の主体的な学びを支援する学校」だといえます。
見学で確認したいポイント
探究・ICT環境が整っている学校を探したいときは、学校見学やオープンスクールで以下を確認しておくとよいでしょう。
- どの教科にどんな設備・デバイスが使われているか
- 授業風景でICTやラボスペースが活用されているか
- 学校学習と自宅学習をリンクできそうか
- 生徒の成果物(ポスター、模型、図表など)で学習内容を読み取れるか
- ポートフォリオ(紙/デジタル)や作品集をつくる機会があるか
- 発表会や外部向け展示の記録がアーカイブされているか
- ICT使用ルールや端末の管理体制が整っているか
- 教員が端末やクラウドサービスを円滑に使いこなしているか
- 生徒のトラブル時に対応できるサポート体制があるか
- 探究活動・プレゼンなどに評価基準(ルーブリック等)があるか
- 探究・PBLが成績に反映される仕組みがあるか
- 外部発表やコンテストなどへの参加実績があるか
充実した探究学習をするには、「設備がある」だけでは不十分です。設備を学習に活かせているか(学習に必要な設備があるか)、プレゼンテーションや発表などアウトプットの機会があるか、指導体制が整っているかなど、複数の観点でチェックしましょう。
最新設備×探究・ICTが強い私立中学7選
ここでは、最新設備×探究・ICTが強い代表的な私立中学を紹介します。最先端の取り組みや独自性のある学習内容がわかるので、ぜひご覧ください。
広尾学園小石川中学校・高等学校
広尾学園の教育連携校である広尾学園小石川中学校・高等学校は、新校舎にラーニングコモンズや自習室を完備するなど設備が充実しています。
- 広尾学園との連携で安定した探究・ICT教育を実現
教育理念や学習環境が系列校全体で共有され、質の高い指導が受けられます。 - 新校舎にラーニングコモンズや自習フロアを完備し協働学習を推進
自由に使える学習空間が充実し、生徒同士の対話や発表が活発におこなわれます。 - 1人1台端末を配布し、全教科でICTを常時活用
タブレットやPCを使い、デジタル教材やオンラインツールを授業に取り入れています。 - 継続的なPBL型探究学習で思考力と表現力を育成
プロジェクト学習を通じて主体的に課題解決に取り組む力を養います。 - サイエンスラボやデジタルファブ設備も利用可能
実験や制作を通じて理数探究の幅広い経験が積める環境が整っています。
ラーニングコモンズは、多目的ホールや図書室を併設した自由な学習スペースとして使える場所であり、個人学習のほか、グループ学習にも利用できます。
化学・生物・物理専門の3つのサイエンスラボが並ぶ「サイエンス・ストリート」など、独自の設備があるのもポイント。授業、研究活動、中高大・産学連携の3本柱で知的好奇心を刺激します。
三田国際学園 中学校・高等学校
三田国際学園 中学校・高等学校は、グローバル時代に対応するカリキュラムを採用しており、先進的なインターナショナルスクールとしても知られています。
- Apple Distinguished SchoolとしてICT活用教育を牽引
最先端のデジタル教育を取り入れ、ICT利活用の模範校として評価されています。 - 1人1台端末と校内Wi-Fiで記録・分析・制作・発信を年間通じて実施
日常的にICT機器を活用し、学びの質を高めています。 - 動画制作・3Dモデリング・プログラミングなどクリエイティブ学習が充実
多様な表現方法を通して創造力を伸ばします。 - 電子黒板や大型ディスプレイを授業で常時使用
教員と生徒の双方向コミュニケーションを促進しています。 - サイエンスラボ、ホール、ギャラリーなど表現のための施設が充実
実験・発表・展示の場が整い、多彩な学びの機会を提供します。
グローバル教育だけでなくサイエンス教育に強い学校としても有名な三田国際学園は、博士号を取得した教員が複数人在籍するなど、設備以外の魅力も多彩。「好奇心」を「探究」に変えていく学習プログラムで、興味のあることにとことん向き合える環境です。
ドルトン東京学園 中等部・高等部
ドルトン東京学園 中等部・高等部は帰国生率の高い学校で、多様な人材の多様な興味・関心を大切に受け止める教育を実施しています。
- ドルトンプランを軸にした学び
自分のテーマを深掘りする主体的な学習スタイルを採用しています。 - STEAM棟の一体的な施設設計
クラフト系ラボ、ラーニングコモンズ、サイエンスラボなどを完備しています。 - 全館無線LANと多様な学習空間
探究を支えるラーニングコモンズや自然を活かした「ドルトンの森」など。 - 社会と連携した実践的な設備活用
設備を活かして社会との接続を重視した実践的学習を推進しています。
ドルトン東京学園は、「ドルトンプラン」という自律的で探究的な学びの枠組みを核に据えています。学内には探究や創作活動を効率的に進められる最新のSTEAM棟があり、設備面でもカリキュラム面も充実しているのが特徴です。
工学院大学附属 中学校・高等学校
工学院大学附属 中学校・高等学校は、グローバル社会に貢献する人材の育成を目的に、文理共通のカリキュラムで幅広い指導をしている学校です。
- 大学連携で進化するK‑STEAM教育を導入
工学院大学の最先端研究環境や工房を活用しています。 - MakeRoom/Fabスペースに3DプリンタやAdobe環境を常備
先端ツールを自由に使える創造空間があります。 - 1人1台端末+全館Wi‑Fi整備で深化するICT活用
授業から提出・評価までをシームレスに実施しています。 - 生成AIの活用とリテラシー教育を日常化
思考力とICT倫理意識を同時に育てる学びの仕組みを採用しています。 - 大学施設の利用や研究者による特別講座を展開
訪問講義、研究室体験など、多様な実践型学びの機会があります。
大学との密な連携をベースに、K‑STEAM教育や実践型学びを推進する先進校として注目されています。校内外の大学施設や工房を活用できるなど設備面が充実しており、プレゼンテーションや発表を通してアウトプットすることも可能です。
順天 中学校・高等学校
順天 中学校・高等学校は、国際社会で活躍する人材になることを目標に、多様な学習スタイルと最先端の設備・デバイスを取り入れている学校です。
- 理数選抜類型と連動した体系的な理数探究
医療・生命科学に関する探究テーマを取り扱う教育が盛ん。 - 北里大学との系列化で高大連携が強化予定(2026年度〜)
研究所見学や講義参加など、大学との連携機会が多い。 - ICTを活かした探究活動が日常的に実施される仕組み
分析ツールやデジタル発表による探究型の学習をしています。
理数教育に強く、理数選抜類型を中心とする探究学習と教育カリキュラムが充実しています。医療や生命科学をテーマに据えた探求学習も多く、時事ネタと紐づけて学ぶ機会も多いです。
なお、創立190年を迎える2026年から、北里大学の系列校となって「北里大学附属順天中学校・高等学校」に名称が変わります。今後は中高大の連携がより密になり、大学設備を使った学習にも期待が高まります。
開智日本橋学園 中学校・高等学校
開智日本橋学園 中学校・高等学校では、主体的・能動的学びである探究型学習を採用し、国際バカロレア(IB)教育のプログラムも取り入れています。
- Google Workspace for Educationを全校で運用
Classroomを活用し、課題配布・提出・フィードバックの効率化を実現。 - クラウド起点の共同編集で協働学習と迅速な振り返りを実現
ドキュメントやスライドのリアルタイム共有が可能に。 - 都市型キャンパスながらICT・探究・フィールドワークが一体化された学び設計
校内外を活かした探究プログラムが計画的に組まれています。
より主体的な学びができる環境を整えているほか、中高にわたるIB教育の環境が整備されており、探究型学習や国際的な思考力を育む場となっているのも特徴です。フィールドワークなど学校の外での学びも多く、多彩な学習ができます。
広尾学園 中学校・高等学校
広尾学園 中学校・高等学校は充実した英語環境や「自律と共生」を主体とする学習プログラムが特徴の学校で、インターナショナルコースなども設置されています。
- 研究室レベルの実験が可能なサイエンスラボを完備
校舎6階に整備された3つの専用実験室があります。 - ICT基盤を活かした探究・発表機会が豊富
ICTルーム、電子図書館(LibrariE)、クラウドリサーチナビを活用できます。 - サイエンス×ICTという両輪で探究教育を推進
生徒の発想を探究に結びつける実験環境が充実しているのが特徴です。
理数系の設備も充実しており、化学・生物・物理それぞれの分野で使えるサイエンスラボが完備されています。中学・高校の授業の枠にとらわれない実験ができるなど学年横断型の学習プログラムも採用され、興味・関心を高める探求学習ができる学校として注目されています。
【説明会・見学用】“設備が学びを変える”を見抜く質問例
ここでは、学校説明会や見学の際に使える質問集を紹介します。とくに、「設備が学びを変える」を見抜く質問を中心に取り上げていますので、ぜひご活用ください。
ICT・デジタル環境について
- 1人1台端末はどの学年から導入されていますか?
- 端末は学校貸与ですか?家庭購入ですか?
- 教材や課題提出は紙とデジタルのどちらが中心ですか?
- 授業でオンラインツール(Google ClassroomやMicrosoft Teamsなど)は、どの程度活用していますか?
- 保護者もアクセスできる学習記録やポートフォリオはありますか?
実際に日々子どもが使うICT設備は、パンフレットや説明会だけでわからないことも多いです。学校ごとの比較をするためにも、事前に質問しながらリサーチするのがおすすめです。
探究学習・プロジェクト型授業(PBL)との連動
- 最新設備(理科室、実験室、メイカースペースなど)は探究学習でどのように活用していますか?
- 生徒が自主的に使える時間や制度はありますか?
- 外部企業や大学との連携プロジェクトで設備を利用する機会はありますか?
- 作品や研究成果を発表する場(学内外)はありますか?
ただ設備があるだけでなく、どう学習に活かしているかを質問するのがおすすめです。入学した後の姿をイメージし、日々の学習内容を聞いてみましょう。
利用のしやすさ・日常的な運用
- 放課後や休日にも施設を利用できますか?
- 実習室や設備を予約する仕組みはありますか?
- 設備利用のための指導員や専門スタッフは常駐していますか?
- 生徒から設備改善や新規導入の提案を受け付ける仕組みはありますか?
せっかく最先端の設備が整っていても、使いづらいのであれば魅力も半減してしまいます。利用のしやすさ・日常的な運用ルールなどについて質問し、実際に子どもたちがどう使っているのかシミュレーションしてください。
将来の進路との関連性
- 設備を活用した授業や活動は、大学入試や資格取得にどのようにつながりますか?
- 社会で求められるスキル(プログラミング、デザイン、プレゼンなど)を身につけるカリキュラムがありますか?
- 卒業生は設備を活用した学びをどのように進路選択や就職に活かしていますか?
中学で得た学びは、高校・大学や社会に出てからも活きてきます。学びをどうアウトプットし、どう進路につなげているのか、将来との関係性を質問してください。
家庭における準備と確認すべきポイント
ここでは、最新設備のある私立中学への進学を検討する際、家庭で準備しておきたい点と確認すべきポイントを解説します。後で「こんなはずでは…」とギャップに悩まされることのないよう、事前にポイントをおさえておきましょう。
初期費用・維持費の内訳を確認する
入学時に必要な費用だけでなく、毎月・毎年かかる費用を事前に把握しておきましょう。
- 初期費用の例:入学金、制服・指定品代、iPadやPCなどICT機器費用
- 維持費の例:授業料、施設費、教材費、ICTサブスクリプション、研修旅行積立など
ICTに力を入れている学校では、端末の購入や学習アプリの利用料が加算される場合があります。学校パンフレットだけでなく、説明会や個別相談で「何にいくらかかるか」を細かく確認しておくと予想外の出費を防げます。
家庭でのICTリテラシー
子どもが安心・安全にICTを活用できるよう、基本的なICTリテラシーは事前に身につけておくことをおすすめします。
- 検索・引用・著作権・生成AIの使い分け
- 家庭内における端末使用ルールづくり
- SNSやオンラインサービス利用時の注意点を日頃から話す
学校が便利なICT機器やクラウドサービスを導入していても、家庭での使い方次第では想定外のトラブルが発生するかもしれません。1人1台端末が導入されている学校では、自宅での利用時間や使用目的を親子で確認しておくことが大切です。
無理のない通学動線
通学にかかる時間はもちろん、放課後の活動や自学スペースの活用まで見据えて通学動線をシミュレーションしておくことが大切です。
- 通学時間にかかる時間に無理がないか
- 駅から学校までの徒歩経路は安全性が確保されているか
- 放課後の自習・探究活動の頻度や最終下校時刻が生活リズムにあうか
- 自学スペースの開放時間や利用ルールが使いやすそうか
ICT・探究重視の学校では放課後も「学びの時間」になることが多いため、「活動のしやすさ」までを含めた動線設計を考える必要があります。子どもの生活リズムや家庭のサポート体制とも照らし合わせて選びましょう。
学びの循環を生む設備に着目して学校を選ぼう
最新設備のある私立中学は、探求学習の広がりやICT活用のニーズ増に伴って人気を集めるようになりました。
とはいえ、学校の設備をチェックするときは、見栄えではなく「学びの循環」を生む設計かどうかを重視することが欠かせません。
「設備→授業→成果→発表→再設計」の循環が回っているか、その循環を時間割・評価・校外機会が後押ししているか、この2点を軸に複数の学校を実際に見て比較してください。
この記事の編集者
- 中山 朋子
Ameba学校探し 編集者
幼少期からピアノ、書道、そろばん、テニス、英会話、塾と習い事の日々を送る。地方の高校から都内の大学に進学し、卒業後は出版社に勤務。ワーキングホリデーを利用して渡仏後、ILPGAに進学し、Phonétiqueについて学ぶ。帰国後は広告代理店勤務を経て、再びメディア業界に。高校受験を控える子を持つ親として、「Ameba学校探し」では保護者目線の有益な情報をお届けする記事づくりを目指しています。





